NEO ΟΡΘΡΟΖ Series 5th : 緒形健一インタビュー

緒形健一インタビュー

――『S-cup』出場への闘いも、今回でいよいよ大詰めになります。ここまで緒形選手は5連勝をマークしていますが、振り返ってみていかがですか?

「結果を残せたという部分はありますけど、『S-cup』に出て試合を勝ち抜くことを考えたらまだまだですね。必要なことがたくさんある」

――それはどんな部分なんですか?

「安定感がまだまだ足りない。練習では出せても、試合で使ってない技術が結構あるんです。それを今回の試合で全部出して勝利すれば、『S-cup』も見えてくると思います。」

――今回の対戦相手、大野崇選手にはどんな印象がありますか?

「いつかやることになるだろうな、とは思ってましたね。印象でいうとハートが強くて、気持ちで退かない選手。技術的にも高いし、最近はシュートボクシングのルールにも慣れてきてますよね」

――大野選手も打ち合いを厭わない選手ですから、かなり手が合うんじゃないですか。

「合うと思います。ただ、こういう対抗戦は何よりも精神力の勝負ですからね。まして今回は、お互い『S-cup』に出るために負けられない同士ですから。バチバチの試合、気持ちの闘いになると思ってます。もう、僕は“負けるくらいだったら死んだ方がいい”って気持ちでやってるんで。あとは『S-cup』を勝ち抜くための絶対的な強さをこの試合でも見せていくしかないなと。『S-cup』前の試合ですけど、今回は前哨戦なんかじゃないです。総力戦ですよ」

――この時点から総力戦ですか。

「これを超えないと先がないですからね」

――「これを超えないと先がない」。緒形さんは、前回のS-cupから2年間ずっとそういう気持ちで闘ってきたように見えます。その成果というか思いのようなものを、すべて『S-cup』にぶつけると。

「そうですね、ずっとそうです。自分で決めた道ですからね。めったにない経験をさせてもらってると思います。だから自分の覚悟を見せたい。シュートボクシングで、S-cupで一番になることが、僕の最大の夢ですから」

――それでは、今回の試合はKOではなく勝ちに徹するという感じですか?

「それはないですね。お客さんあってのモノですから。ただ、昔みたいに“フェイントとか捨てパンチなんかいらないんだよ。一発で倒してやる”なんて思ってないですよ(笑)」

――そういう時期を経て、ここにきていろいろなものが噛み合ってきそうだと。

「はい。ただですね……こっちのガードが甘いと向こうも打ってくるんで、ちょうどいいんですよね」

――向こうが打ってくれば、こっちのパンチも当たりやすいと。しかしそれは物騒な闘い方ですよ(笑)。

「ハイリスク・ハイリターン、風車の理論で(笑)。やっぱりプロですからね。お客さんが沸いてないと“アレ?”ってなるんですよ」

――いや~、それにしても、負けられない闘いを前にした選手の言葉とは思えないですね……。

「結局、侍とかもそういうものだったと思うんですよ。生きるか死ぬかギリギリの世界。時代は変わっても、人間ってどこかでそういう感覚を求めてるんですよね。だから今でも格闘技があるんでしょうし。だったら、僕はとことんまでそれを突き詰めていきたいなって。ギリギリのところを突き詰める経験って、普通に生きてたらなかなかできないですからね。競技として勝つことだけを考えたら手堅くいくのがいいんでしょうけど、プロとして、格闘家としての本質はそうじゃないって思うんですよ。本質を引き出さないと格闘家である意味がないし、いいものが見せられない」

――そうなると、緒形さんが『S-cup』で優勝する時にはとんでもなく壮絶な試合になりそうですね。

「もうボッロボロでしょうね(笑)。“よく生きてたな”って感じになるんじゃないですか。でも、僕はそういう勝ち方しかできないでしょうし、それがオレなんだって思ってます」