NEO ΟΡΘΡΟΖ Series 5th : 土井広之インタビュー

土井広之インタビュー

――9.23後楽園大会は、菊地浩一選手との対戦になりました。かなり重要な意味合いのある一戦ですね。

「明らかに『S-cup』予選ですからね。まあ、この時期にドーンと日本人対決ができるってのはいいことじゃないですか」

――それだけ選手層が充実してるわけですからね。

「名前も知らないような外国人とやるよりは、日本人同士ガチガチの試合した方がシュートボクシングを魅せれるでしょう」

――明暗がハッキリしすぎるくらい分かれますよね。菊地選手にはどんな印象がありますか?

「菊地って『シーザー魂』のエンディングとかで映像を見ると“男の色気がある選手だな”って思うんですよね。寡黙な表情とか。 “菊地は色気あるなぁ”っていつも宍戸に言って褒めてたら、自分がやることになっちゃったんですけどね(笑)」

――菊地選手はシーザージムに練習に来ていたこともありますし、意外な組み合わせではありますよね。

「でも、そのうち“やるんじゃないかな”とは思ってましたから別に驚かなかったですよ。やっぱり階級が近い選手なら、闘う可能性は常にあるわけですからね。プロなんですから、同門だってトーナメントだったら闘わなきゃいけないんですから。“友達だからだから今はやりたくないよ~”とかは、自信ないヤツの言い訳ですよ。仲良しごっこはリングの外でやれって。」

――雑誌のインタビューでは「今やりたいのは緒形、宍戸」とまで言ってましたよね。

「格闘技って個人競技ですからね。“オレが一番強いんだ”って自信がないと、やってけないんで。そういう試合を、ファンの人も見たいと思うんですよね」

――2002年の『S-cup』ではヒザを負傷、2004年は「70キロは重い。ベスト体重でやりたい」とエントリーしてませんでしたよね。それが今ではいい意味での欲が凄く出てきてるじゃないですか。その心境の変化というのは……?

「2002年にケガして、復帰戦がシェイン・チャップマン、その次がジョン・ウェインじゃないですか。完全に自信喪失してたんですよ。で、オレは一度落ちると時間がかかるタイプじゃないですか(笑)。2004年はトーナメントのキツさもあるし、70キロじゃ重いしで意欲が湧かなかったんですけど。最近、体の動きが良くなって自信を取り戻したっていう感じですね」

――今、6連勝中ですけど、その好調の源はどこにあるんでしょう。

「若い頃みたいにガムシャラにやるんじゃなくて、体のケアをしっかり考えるようになったのが大きいですね。それに体幹を意識したり、違った面から体を鍛えるようになったんですよ。そしたらキレが出てきたしパワーもついたしで“これ70キロでもいけるんじゃないの”って。今は“やれるとこまでやって、ダメなら引退”って吹っ切れてますから」

――“あれはキツい”“これは無理”というんじゃなく、あらゆる面でポジティブになったという。

「“これはダメ”じゃなくて“やってみりゃいいじゃん”って思えるんですよ、今は。2002年の『S-cup』は一回戦で靭帯が切れて、ドクターストップがかかった状態で準決勝のリングに上がったんですよ。“やるだけやってみよう”って心境で。でも今思えば、それじゃダメなんですよね。やるからにはなんとしてでも勝つって気持ちじゃないと」

――相当な変化ですね、それは。

「調子が悪かった頃って、若い時の自分の動きをしようとしすぎてたんですよ。でも体がついてこないジレンマがあって。今は年相応の動きっていうのが分かってきましたね。頭と体がシンクロしてきたっていう。悪い時の自分は、F1のエンジンで壊れたトラクターを動かしてたようなもんなんですよ。30すぎたらそうはいかない。今はいいガソリン入れて、コンピューターも積んでっていう。いいメカニックもいますしね。今、一番いい時期にきてるんじゃないですか」

――復活したというより、今が全盛期なんだと。そうなると菊地戦にもかなり期待が持てそうですね。菊地選手は同じサウスポー、しかもローが得意という共通点があります。

「ただ、スタイル的には全然違いますよね。菊地の攻撃は、ローよりもパンチを警戒してるんですよ。あとはとにかくしつこい。ああいう手数が多くてしつこいタイプは、一番嫌いなんですよねぇ(笑)」

――強気なんだか弱気なんだか分かりませんね(笑)。

「まあでも、菊地には穴がいっぱいありますからね。そこを突いていけば、自然に勝利が転がり込んできますよ」

――『S-cup』の最終選考試合という意味では、勝ち星だけでなく内容も重要ですよね。

「それはもちろん。勝つのは最低条件として、やっぱりKOでしょう。倒して勝って、それまでの戦績も考えると……やっぱりオレしかいないでしょう(笑)」

――それともう一つ。今のSBのテーマとして、“宍戸ショック”を払拭するというのもあると思うんですよ。宍戸選手がK-1で負けてしまったのは、やはり大きいことですから。

「そもそもねぇ“タイ人が相手だったら宍戸よりうってつけの選手がいるじゃないシュートボクシングには”って感じですよねぇ。うん、いつかブアカーオとやってみるのも面白いですね。15秒以上はもつ自信があるんですけどね(笑)」

――相変わらずキツすぎますねぇ(笑)。

「昨日もスパーリングでこれでもかってくらい左フック食らわせてやりましたよ(笑)。まあでも、こういう危機っていうのは何度もありましたからね。そういうのを乗り越えて今のシュートボクシングがあるんで。周りがどう喚こうがそんなに。だいたい、宍戸がシュートボクシングの日本最強だなんて気持ち、僕にはないですからね。9月、11月と、僕がシュートボクサーの強さを見せますよ」