X PLOSION 「Boonchu ”S-cup”」 at オーストラリア 2002.12.15
第13試合 メインイベント 73.0Kg契約
勝者:ジョン・ウェイン 5R判定
前回大会において、中国散打の強豪ジョンイーゴを『立ち関節』で破り、SB新時代を切り拓く最前線に立つ一人となった後藤。
今回は敵地オーストラリアに乗り込んでの、強豪ジョンウェインとの対戦となったが、この対戦は後藤個人の今後のみならず、SBの世界戦略を考える上でも大変重要な一戦であると言える。
気合い十分で入場の後藤。日本ではお馴染みの、後藤流の『魅せる』リングインに、オーストラリアのファンは早くもヒートアップ。だが対戦相手のジョンウェインは、冷静さを崩さず。この辺りから、今大会にかけるジョンウェインの並々ならぬ決意が見て取れる。
後藤のロー2連発で幕を開けた試合は、一進一退の攻防目まぐるしい好勝負となった。アンディサワー、ジョンイーゴら、世界の強豪と相対して来た中で培った自信を身にまとい、アグレッシブに攻め込む後藤に対し、顔面、ボディーへの巧みなパンチの打ち分けと、距離を殺してのヒザ蹴りという組み立てで冷静に闘いを進め、確実にダメージを奪いに来るという戦法のジョンウェイン。2Rにはジョンウェインの右ストレートが後藤にクリーンヒットし、ピンチを迎えるかと思いきや、不発に終わったもののすかさず投げを狙いに行く等、後藤は、従来の『打たれ癖』を完全に克服した感があった。
3Rには良い角度のローがヒットし始め、ジョンウェインの動きを止めにかかるや、スタンドでの肩固めを極め、ジョンイーゴ戦に続く『立ち関節、1本勝ち』の偉業達成に王手をかける。
一時は完全に極まったかに見えた肩固めであったが、そこは強豪ジョンウェイン。
地元オーストラリアでの試合で、このままアッサリと負ける訳には行かない、とばかりに上体を巧みに動かしながら、間一髪の所で脱出に成功する。終盤に入ると、これまでコツコツと確実にダメージを奪いに行くというジョンウェインの作戦が功を奏し、後藤の動きが鈍り始める。
ガードが甘くなった後藤に、ジョンウェインの容赦無いパンチ、ヒザが突き刺さる。何とか挽回を試みる後藤であったが、これまでに負ってしまったダメージが余りに深かったためか、今一歩決め手に欠き、勝敗の行方は判定に持ち越された。結果は2-0でジョンウェインの判定勝ちとなり、後藤はまたも苦杯を舐める格好となったが、関係者の中には「後藤が勝っていた」という声も少なからずあり、この試合がいかに僅差の判定であったかという事が窺えた。
判定が下った後、後藤は全身でその悔しさを表しリングから去った。
彼がこの日味わった悔しさは、やがて後藤を一回りも二周りも大きく成長させる事だろう。
『立ち技世界最強』、Sのリングは、かくも深く、また広い。
(コジマール課長)第12試合 71.0Kg契約
勝者:ダニエル・ドーソン 4R KOSBの世界戦略を考える上で、シーザー会長が現在最も重要視しているのが今大会の開催地オーストラリアであり、この地でのエースとなるに成長したドーソンに対する会長の期待も当然大きい。
ドーソン本人にしても、S-CUPで味わった屈辱を一刻も早く払拭し、『Sのリングで頂点を極める』という本来の目標達成に再び取り組むためには絶対に落とせない試合であり、また絶好の機会であるとも言える。地元ファンの絶大な声援を受けながら、彼のプライドの象徴であるSBのスパッツ姿で入場して来たドーソン。
ひと目でコンディションは良好であると判る程肌にはツヤがあり、表情も良い。ドーソンの左ミドルで幕を開けたこの一戦は、彼のモチベーションと志の高さを十二分にアピールする結果となった。
ムエタイスタイルのマホーニは、開始早々ヒジの連打で攻勢に出るが、ドーソンは一歩も退く事なくそれに応じて行く。さらにマホーニの蹴り足を掴んで右ヒジをヒットさせるなど、相手の土俵に敢えて乗った上でそれを凌駕してみせ、SBの技術の奥深さを満天下にアピールしてみせた。
ヒジにはヒジ、ヒザにはヒザ、さらに左右のロー、ミドルに加え、あらゆる角度からのパンチの連打と、余りに目まぐるしいドーソンの攻撃の前に、早くも2R、マホーニは防戦一方になってしまう。
ドーソンは「打って来い!!」というポーズを見せるが、完全にお株を奪われた形のマホーニは、なす術も無くガードを固めるのみだった。3Rに入り、何とか活路を見出したいマホーニは一転攻勢に出るが、そこへドーソンの狙いすました右ヒジがヒットし、マホーニはたまらずダウン。結局マホーニは立ち上がる事が出来ず、ドーソンは一撃で相手をマットに沈めてしまった。
衝撃のKO劇に会場は興奮の坩堝と化したが、もうすでにドーソンの視線はそこには無かった。
彼の想いはすでに、『最強の19際』の称号をほしいままにしているS-CUP覇者、アンディサワーに向けられていた。「SBのスパッツを履いていないヤツが、SBのチャンピオンだというのは納得が行かない」
そう高らかに言い放ったドーソンは、来春サワーへの雪辱を誓い来日する。『日本発世界』
フランスにも支部を置き、今や世界規模に発展するに至ったSB。
創始者シーザー会長の熱き想い、ファンの期待を乗せて『Sのリング』は今後、ますます加速して行く。
(コジマール課長)第11試合 68.0Kg契約
勝者:宍戸大樹 5R判定
今大会を通じて、オーストラリアのファンに強いインパクトを与えたのは、ダニエルドーソンなどの地元勢を除けば、この試合での宍戸の闘い振りではないだろうか。
『立ち技バーリ・トゥード(何でもあり)』とも言われるSBが秘めた可能性を、多彩な攻撃パターンをスピーディーに絶え間なく繰り出し体現して見せた宍戸に、地元ファンのみならず、関係者の中にも驚きの表情を隠せない者が少なくなかった。
リングインと同時に四方に深々と礼をし、対戦相手であるドッジが、ワイクーで自らを鼓舞する間、宍戸は何とシコを踏んで気合いを入れてみせた。
この辺りに宍戸の『日本発世界』という強いプライドを感じる事が出来、早くも好勝負の予感に会場の雰囲気も俄然熱を帯びる。試合は戦前の期待を裏切らない、実に素晴らしい内容となった。
開始早々キレの良い左のロー、ハイを上下に打ち分ける宍戸の攻撃に、ドッジはとまどいの表情を隠せない。ムエタイスタイルを標榜するドッジとしては、接近戦に持ち込んでヒジ、ヒザを駆使したい所だが、軽快なステップワークで左右のロー、ミドル、接近して来た所にアッパーと、実に多彩な攻撃パターンを持つ宍戸はそれを許さない。
さらに、僅かな隙をついて組み付いてきたドッジに対して首投げまでお見舞いし、シュートポイント獲得こそならなかったものの、この攻撃で会場は割れんばかりの歓声を宍戸に贈り、早くも試合は『宍戸一色』の様相を呈して来た。3Rには宍戸の浴びせ蹴りがクリーンヒットし、会場の興奮度は最高潮に。
しかしその後、ドッジの組み付いてのヒザ蹴りが宍戸の急所に入ってしまうというアクシデントがあり、試合は中断。この時ドッジに浴びせられたのは、地元ファンからの満場のブーイングであった。程なくして試合は再開されたが、いかに宍戸が、オーストラリアのファンの心を掴んでいたかという証明のようなブーイングだった。終盤に入っても宍戸のペースは全く乱れる事が無く、左右のロー、ミドル、さらにはバックエルボーまで繰り出しドッジを追いつめて行く。途中ドッジの左のパンチがクリーンヒットし、宍戸がグラつくというシーンも見られたが、その後は決め手に欠き、ドッジの挽回もここまでとなった。
最終5Rには宍戸のフロントチョークが極まり、キャッチポイントを獲得。
タップこそ奪えなかったものの、『勝負あり』を強く印象付けた。結果は判定に持ち越されたものの、文句無しで宍戸に凱歌があがった。
その寡黙で実直な性格ゆえに、緒方、土井、後藤といった強烈なカリスマ達の影に隠れがちな宍戸だが、己の存在を試合内容でアピールしてみせた彼の姿に、刮目したファン、関係者は決して少なくない。SBの明日を担う男がまた一人、出現した。
(コジマール課長)











