9.23『NEO ΟΡΘΡΟΖ Series 5th』 詳報
今大会で勝利を収めた緒形、森谷、石川とゲストで登場したサワー9月23日、後楽園ホールで『SHOOT BOXING 2006 NEO ΟΡΘΡΟΖ Series 5th』が開催された。今大会のセミ、メインは、S-cup出場を決める査定試合。出場を目指す選手にとって大事な一戦となる。日本代表の残り1枠をめぐり、4選手が壮絶な闘いを繰り広げた。
“S-cup制覇”のみを胸に、非情なる決意で闘ってきた緒形健一は、SBで数々の熱い闘いを繰り広げてきた“名勝負製造機”大野崇と対戦した。大野はサウスポースタイルから長い手足を生かしたジャブやハイキックを多用し、回り込みながらうまく距離を取っていく。大野の思惑通り、なかなか前へ踏み込めない緒形は、一気に距離を詰めパンチを繰り出すも単発で終わる。
間合いを詰められないままの緒形は2R、3Rと右ローで大野を牽制しつつ、チャンスをうかがう。一方、前蹴りで距離を取り、緒形が踏み込みかけたところにヒザを合わせ、さらには飛びヒザで完全にペースを握る大野。だが3Rの後半あたりから緒形の右パンチが大野へヒットしはじめ、大野も打ち合いに応じると、試合の流れは徐々に緒形へと傾いていく。 最後まで大野の距離に攻めあぐねる緒形だったが、ラストラウンドで強引に間合いを詰め、パンチを連打をすると、大野の目の上から出血が見られ、ドクターチェックが入る。試合再開後、一気に緒形がラッシュ。ラスト10秒、壮絶な打ち合いの中で緒形の強烈な右が顔面にヒット。さらにパンチ連打で緒形がダウン寸前まで大野を追い込み、形勢を逆転。判定3-0でS-cupへの夢をつないだ。
セミファイナルでは、土井広之が7月大会のSHINOBU・ツグト・アマラ戦で勝利しS-cup出場へ千載一遇のチャンスを掴んだ菊地浩一と激突した。
同じサウスポースタイルな上にローキックを得意とする両者。ベテランの土井が試合のペースを掴むかに見えたが、猛烈な勢いで前へ詰め、パンチを放つ菊地に苦戦を強いられる。2R、不用意に突っ込んだ菊地に右フックを合わせダウンを奪ううまさを見せた土井。菊地が体勢を立て直す前に一気にパンチで攻め立てるが、菊地は息を吹き返し、再びパンチの連打を放つ。さらに3Rでは土井のお株を奪う強烈な左ローで土井の動きを封じ、パンチからヒザへと果敢に攻撃を仕掛けていく。防戦一方の土井に対し、スタミナのまったく途切れない菊地はペースをまったく落とすことなく前へ前へと攻め続ける。5R、最後の力を振り絞り、土井はパンチ勝負を挑むも菊地の勢いは止まらない。パンチの連打に反撃できぬまま無情のゴングが鳴り、菊地が3-0で先輩から価値ある1勝をもぎ取った。
この2試合の結果により、S-cup出場者は緒形、菊地の2人に絞られた形となる。試合内容の選考の末、大舞台への切符を手にするのは、果たして……?
また第6試合では“闘う広報”として選手、フロント両面にわたりSBを支えた日本スーパーバンタム級チャンピオン、森谷吉博が引退試合を行った。セコンドにアンディ・サワーを従え、最後の入場を果たす森谷。対するはアメリカのマイク・ボードウィン。1R、サウスポーから繰り出すハードパンチで森谷にプレッシャーをかけるが、冷静に動きを見極めて的確にローを繰り出す森谷が、2R以降、ボードウィンの動きを止める。3Rには観客の森谷コールに後押しされ、首投げでシュートポイントを奪うと、さらにラッシュを仕掛け、3-0の判定で有終の美を飾った。
試合後の引退セレモニーでは、マスコミ、シュートボクシング関係者をはじめ森谷と親交のある格闘家、ミュージシャンも多数登場し、森谷に花束を贈呈。そして最後にシーザー武志会長が登場し、引退式は感動の大団円となった。
「これからは、自分が愛したシュートボクシングを一生かけて世界に羽ばたかせたい」と今後の抱負を語った森谷。11月3日のS-cup、そしてその後の未来へと、リングの外からSBを支える森谷の手腕にも注目したい。
■緒形のコメント
「今日は気持ちのぶつかりあいだと思ってました。それは見せられたかなって感じです。でも技術的な事やトーナメントを勝ち抜く事には結びつかなかったので、明日から気持ちを入れ替えて前へ進んでいきたいと思います。大野選手の気持ちもすごく伝わってきたんで、やってて久々に楽しい気分になりました。ヒザが来るのは予想してたんですが、だいぶヒザの伸びてくる距離が遠かったんで、何度かもらってしまいました。でも、倒れたら後ろは針の地獄だと思ってたんでその気持ちで前へ出ました。思ったよりも右のリードが上手かったんで、パンチをもらう事が多かったです。(S-cup出場の手応えは?)正直分からないですが、アピールはできたんじゃないですかね。(前の試合で土井選手が敗れましたが?)控え室で“S-cupでやろう”と言ってたので……悔しい思いをしましたが試合にはプラスになりました。引退のセレモニーは正直長いな、とは思ったんですけど(笑)感動はしたんで。良かったですね。S-cupで目指すのは優勝だけです。今日の内容はちょっと厳しいんで、まだ出してない自分の引き出しを見せて勝ちたいです。それができれば絶対優勝できます。そう信じてます」
■森谷のコメント
「最後までパッとしない試合をしちゃいましたね(苦笑)。でも、これで最後なんだと実感できました。あんまりご飯を食べちゃいけない、とかサウナに行って汗かかなきゃ、とかそういう事も全部、最後なんですよね。勝って終われたんで、さっぱりした気分です。チャンピオンにさせてもらっていろいろな場所で試合させてもらいました。運営上の事以外にも選手としてだからこそ、分かる事もあると思います。そういう意味では“俺しかできない事がある”という自負はあります。選手としてはフェイドアウトしてしまおうか、とも思ってましたが、会長に“現役終えた後に後悔するから”と言われ、自分の形として、って事で試合させていただきました。淋しさはまだ実感ありませんが、これからどんどん感じていくんでしょうね。(サワー選手のセコンドは?)来日してすぐ向こうから“セコンドについていいか”と言うので。断る理由もないし、信頼してるんで。すごく的確なアドバイスでした。ラスト30秒はスタミナだけは持ってたんで一気にいきました。最初は相手がサウスポーって事もあり、自分の距離がずれてるって感じていたんです。変に攻めてパンチもらうのは嫌だからインローを蹴っていこう、と思ってたら、インローばかりになってしまいました。1回は投げをしたかったので、投げも入れてみました。選手としては完全燃焼してるとは思いませんが、現状を考えればこんなものなのかもしれないですね。そういう意味では完全燃焼かもしれません。会長が出てきた時には単純に感極まってしまいました。周りの皆さんには感謝でいっぱいです。今は次のS-cupに向けてですね。これから誰を出して組んでいくか、会長と相談しながらやっていきます。嬉しい誤算もありましたからね。やってみたいプランもありますし」
〈RESULTS〉
第8試合/メインイベントSECOND エキスパートクラスルール3分×5R
○緒形健一(シーザージム)VS大野崇(unit-K)×
※判定3-0
第7試合/メインイベントFIRST エキスパートクラスルール3分×5R
○菊地浩一(寝屋川ジム)VS土井広之(シーザジム)×
※判定3-0(菊地は2Rに右フックでダウン)
第6試合/引退試合 エキスパートクラス特別ルール3分×3R
○森谷吉博(シーザージム)VSマイク・ボードウィン(アメリカ)×
※判定3-0(3R、森谷は首投げでシュートポイント1獲得)
第5試合/エキスパートクラス特別ルール3分×3R
○石川剛司(シーザージム)VSサッグサーコン・ルークマトゥーリ(ウォーワンチャイ・ムエタイジム)×
※2R0分44秒、KO(外掛けでダウンし、そのままKO)
第4試合/エキスパートクラス特別ルール3分×3R
○山口太雅(寝屋川ジム)VSケンシロウ(新東金ジム)×
※判定3-0
第3試合/スターティングクラスルール2分×3R
○中森保貴(シーザージム)VS鈴木友則(湘南ジム)×
※判定3-0(3R、中森がバックドロップでシュートポイント2獲得)
第2試合/スターティングクラスルール2分×3R
○岩下雅大(龍生塾)VS井上俊介(フリー)×
※判定3-0
第1試合/スターティングクラスルール2分×3R
○中島弘貴(シュートボクセアカデミージャパン)VS野畑圭介(風吹ジム)×
※2R1分20秒、KO(顔面へのヒザ蹴り)


